紙をめぐる話|コレクション No.07

情報と趣向が盛りだくさん
紙の地球儀

表面のすみずみまで緻密な印刷が施された地球儀は、
組み立てて楽しく、じっくり眺めて面白い
情報をはこぶ紙のプロダクトです。
地理・地形・地球をテーマにしたプロダクトシリーズ
「geografia」に、この夏からリバーシブルになる
という新しい地球儀が加わりさらなる展開を
見せはじめています。

初出:PAPER'S No.38 2011 夏号
※内容は初出時のまま掲載しています




(右画像、左から時計周りに)
 MATERIAL─SECTIONAL GLOBE
1 WOOD : ユニテックGA ナチュラル 四六判Y目 210kg
2 LEATHER : クロコGA ナチュラル 四六判Y目 210kg
3LANDS & NATIONS─FLIPPABLE GLOBE
 2つは組み方違いの同一商品です
 NTラシャ あさぎ 四六判Y目 210kg
4METAL : スタードリーム シルバー 720×1020mmT目
    209kg
5 EARTH & SKY─TWISTABLE GLOBE
 OKミューズバナナ ブラック 四六判Y目 180kg

デザイナーの話
DRILL DESIGN(林裕輔さん、安西葉子さん)

プロダクト上で多くの印刷技術を見せるべく、まずは色々な印刷に応用できるフォーマットをデザインしようと考えるうちに、地球儀を思いつきました。印刷は情報を伝える技術なので、プロダクトにしたときもその要素は持たせたかったんです。地球儀なら地理や地形をテーマに様々なバリエーションが展開できるし、表面に情報を埋め込めばグラフィックと造形だけでそれを伝達できると思い、高い可能性を感じました。「SECTIONAL GLOBE」の「MATERIAL」シリーズは地球上のさまざまな素材をテーマにしています。このシリーズは手の中で見て楽しめるようなサイズのものにしたかったのですが、そうすると見る距離も自然と近くなるので、紙選びではテーマとの兼ね合いはもちろん、質感や触り心地にもかなりこだわりました。今回の新作の「TWISTABLE GLOBE」と「FLIPPABLE GLOBE」はオーサグラフ世界地図を開発した鳴川肇さんに参加を仰いでできたものです。どちらも組み立て式かつ変形できるものなので、何種類もの紙で試作して、印刷適性だけでなく弾力やコシ、表面の平滑性、厚み、操作性などを入念に検証しましたね。NTラシャを使った「FLIPPABLEGLOBE」は海洋部分にだけUV印刷で透明インキを刷ったのですが、もともとこういう模様の紙に大陸部分だけインキをのせたような、面白い風合いに仕上がりました。新作には「組み立てる」「見る」というだけでなく「遊ぶ」という側面が加わったので、今後はさらに印刷やグラフィックを発展させつつ、これらの地球儀を用いたワークショップなども開催できたらと思っています。

 

製造・販売担当者の話
奥田章雄さん(株式会社マルモ印刷 代表取締役)

私たちの会社は大正時代に香川で創業して以来、様々な特殊印刷や紙加工を得意としてきました。けれど東京でそうした技術の提案を試みても、単なる技術紹介ではなかなか仕事に結びつかない。それで、縁あって知り合ったDRILL DESIGNのお二人と組んで、自社で印刷加工技術を見せるための紙プロダクトをつくってしまおうと思い立ったんです。こうして生まれたのが地球儀をはじめとする「geografia」というシリーズでした。個々の地球儀では、各テーマを引き立たせる印刷方法をその都度吟味しています。例えば「MATERIAL」というテーマの一連の地球儀のうち「METAL」と「LEATHER」ではUVスクリーン印刷で表面に透明インキをのせています。スクリーン印刷は版のメッシュを粗くすればインキを厚く盛れるんですが、そのかわりエッジがぼやけてしまう。だから粗めのメッシュでインキを厚く盛りながら、緯度経度の細いラインや、動物のシルエットをできるだけ明快に出せるよう試行錯誤を重ねました。紙も、それぞれ数種類の候補の中から色校正を経て最適なものを選んでいます。初めはただ技術を見せるプロダクトという位置付けだったこれらの地球儀が、どんどん一人歩きして、今では国内だけでなく海外からも反響が届くようになりました。そのことに私自身が驚きと凄さを感じていますね。地球儀自体も、これからは単なるインテリアや雑貨ではなく、廉価な教材にするなど、教育的な分野にも展開できればと考えています。見せたい技術はまだまだありますし、DRILL DESIGNや、今回の新作より参加されているAuthaGraph 鳴川さんからはデザインのアイデアもどんどん生まれていますから、この先もぜひ「geografia」を続けていきたいですね。