紙をめぐる話|コレクション No.08

布クロスの変身。
── OPTRICOのショッパー

どこかにあるかもしれない架空の国、OPTRICO。
さまざま国と時代をテーマに、
色鮮やかな靴下をつくり出すMARCOMONDEが
プロデュースするセレクトショップです。
異国情緒にあふれる世界観は、内装や商品だけでなく、
ショッパーにまで行き届いています。
一度使っただけで役目を終えるのではなく、
使えば使うほど、その良さが滲み出てくる
ショッパーです。

初出:PAPER'S No.39 2011 秋号
※内容は初出時のまま掲載しています

デザイナーの話
池田充宏さん(DRAWER inc. アートディレクター)

OPTRICOとは、英語で「選択」を意味する“OPT”と、スペイン語で「豊か」を意味する“RICO”を組み合わせた造語です。お店として豊かな選択肢を持ち、お客様に楽しく商品を選んでいただきたいという想いを込めています。ショッパーもそのような観点から選定し、丈夫で永く使える素材のもの、使っていくうちに愛着が湧いてくるようなものにしたいと思いました。不織布を利用したものなど、様々な素材を検討するうちに、普段は装丁として使われる布クロスの存在を知ったんです。まず感じたのは、紙で裏打ちされた裏側のテクスチャーが面白いなということ。その魅力を活かすために、裏面の紙を表として使用してはどうかなと。使っていくと段々しわしわになって味が出ますし、断裁部の糸のほつれも味のひとつになります。自社ブランド「MARCOMONDE」のテーマが旅であることから、海外の様々な土地を訪れることが多いんですね。その行く先々で、印刷や断裁がズレていたり、粗悪な品質の紙に出会ったりするのですが、それがけっこういい味なんです。そういった雑さであったり、指先に残る素材感がなんとも言えない雰囲気を醸し出すものだと感じていた点でも布クロスは適していました。いよいよ布クロスでショッパーをつくろうと決めたものの、こちらは価格の面では決して安価ではありません。その折り合いをどう工面していくか。こうした課題も出てきました。幸いなことに、オーナー会社がアパレルの生産背景を持った会社なので、縫製は自社で行うことにしました。コストを抑えるために印刷会社からはプリントと断裁だけをして納品してもらっています。こうした工程はまだ少ない店舗数だからできること。他の流通型のブランドでは難しいことだからこそやってみようかなと思ったんです。これからもそのような特徴を活かしながら、ずっと手元に取っておきたくなる、味わいのある製品をつくっていきたいと思います。

 



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