紙をめぐる話|コレクション No.11

極微を再現する白
─和光アネックスの
パッケージ

「和光」と言えば銀座4丁目の顔ともいえる高級専門店。
その別館が、2012年9月に「和光アネックス」として
リニューアルオープンしました。
いつの時代も変わらぬ和光の姿勢を体現しているのが
気包紙」を使用した真っ白なパッケージ。
おなじみのマークの細かい線まで出る
印刷再現性にも驚きです。

初出:PAPER'S No.42 2012 冬号
※内容は初出時のまま掲載しています

デザイナーの話
加藤正巳さん(グラムコ株式会社 シニアアートディレクター)

和光さんはまず使い勝手にこだわられていました。強度などへの要望をひとつひとつ踏まえていった結果、シンプルで簡単に組み立て可能な構造になりましたね。構造が決まった後は、和光さんらしい細部へのこだわりを表現するために、カーブの処理やツメのかたちなどに上質な雰囲気が出るようにデザインしました。柄のデザインは、5つのキーワードと、和光の「光」がテーマです。光のゆらぎを表現するために、紙には気包紙 Cを使用しています。別の紙も比較検討をしたのですが、仕上がりの気配の違いから気包紙を選びました。実際に印刷してみてわかったことですが、気包紙 Cは印刷適性がよく、細部の印刷のキレがいいんです。試しにルーペで覗いてみてください。時計の文字盤が見えるくらいですから。正直、ここまで潰れずに再現されるとは思っていませんでした。0.01ミリ単位で検証して、最終的に光の線は0.13ミリに決めました。シンプルですが、微細な作業の積み重ねで成り立っているデザインなんです。白いパッケージ用紙はいくらでもありますが、印刷適性がありテクスチャーにバリエーションがあるものはなかなかありません。また、保冷剤を入れるケーキ箱としても気包紙は適していました。水分を吸収し、それが紙の印象をさらにやわらかく、しっとりとしたものにしてくれるんです。

 

クライアントの話
武蔵 淳さん、吉田秀和さん(株式会社和光 デザイン部)

ギフトやチョコレートなど、和光の食をご提供する「和光アネックス」は、地階がギフトを中心としたグルメサロン、1階がケーキ&チョコレートショップ、2階はティーサロンの3フロア構成です。和光のきちんとしたものづくりを、より若々しく、気持ちのよい場で過ごしていただきたいと、「DELIGHT」「BRIGHT」「STRAIGHT」「FRESH」「STYLISH」の5つのキーワードを定めました。お店はもちろんのこと、パッケージからもその印象が受け取られることを意識して、パッケージを刷新しました。やわらかな雰囲気、上質さがある仕上がりです。ロゴやマークも細かく調整していただきました。このマークには地下鉄の入口や車も描かれているんですよ。銀座の喧噪までも表していて長く親しまれているマークなのですが、気包紙 Cでは絵柄の細部まで潰れずに印刷再現できているんです。現場からの声としては、保冷剤を入れる場所が使いやすくなって、箱の手触りや日付シールの粘着も良くなったと聞いています。小さくたたんでストックできて組み立てやすく、汚れも付きにくくなりました。たくさんのデザインアイデアの中からこのデザインを選んだのは、普遍性があったからです。パッケージはお品をきちんと持ち帰るための機能、おいしく見えること、持ち帰る方が受ける印象、長く使えることが大切です。和光でなじみのある白に金という組み合わせに、素材感や質感、雰囲気が伝わるようなデザインと紙を選びました。新しい和光アネックスらしく、軽やかでやわらかな印象になっていると思います。派手ではありませんが、お客さまに対する和光の姿勢をまっすぐに表現したパッケージです。