紙をめぐる話|コレクション No.17

ありそうでなかった文房具
link index clip

しっとりとした質感を持つクリップが、
まるで花弁のようにリング状に
連なっているプロダクト。
これは、紙を素材にして作られたクリップ
「link index clip」です。
一つずつちぎり取って使うので机の上を散らかさず、
書類に留めたまま捨てることもできる優れもの。
一度使い始めれば、今までなかったことが
不思議に思えるほど、
暮らしの中にすんなりと馴染みそうです。

初出:PAPER’S No.48 2014 冬号
※内容は初出時のまま掲載しています

デザイナーの話
佐藤オオキさん(デザインオフィス nendo 代表)

“ありそうでなかった日常アイテム”をコンセプトに、nendoと西武・そごうで「by | n(バイエヌ)」というブランドを共同展開しています。 「link index clip」はそのシリーズの中のひとつ。クリップといえば金属が定番ですが、機能性を超えて、生活をより豊かにする文房具をつくりたいという観点から、素材を紙に見直しました。リング状に連ねることでクリップが机の上にパラパラと散らかることがなく、書類ごと捨てることもできます。ただし紙は金属と比べてどうしてもホールド性が弱いため、表面の摩擦力の強い紙を使う必要がありました。そこで選んだのが「NTスフール」。しっとりとした質感がホールド性につながり、見た目も触感も心地いい。色数が豊富だったことも決め手でした。質感が気に入り「by|n」シリーズのほとんどの商品の外箱にも同じ紙を採用しています。制作過程で様々な紙に触れましたが、日本ほど豊富に魅力的な紙がそろう国は珍しいと改めて気づきました。プロダクトの素材としてこれからも様々なアイテムに紙を活用してみたいです。

 

製造・販売担当者の話
竹井宏明さん(株式会社マークス 商品企画2部)

無数の検証と細やかな調整の集積が「link index clip」です。ラインの均一性は?ちぎりやすさは?耐久性は?…すべての過程にアイデアが必要でした。まず頭を悩ませたのが、クリップの微細なラインをどう切り抜くか。加工会社とテストを繰り返し、通常の半分程の薄さである0.4mmの刃型を刃型職人さんに特注することで実現しました。レーザーよりも加工時間が短く、またこんもりと丸みのある仕上がりになることも抜き加工ならではの特長です。紙にNTスフールを採用したのは、やはりホールド力の強さから。雪のような表面も印象的でした。その独特の質感を素のままで活かすためにカラーもNTスフールのラインナップから選んでいます。ちぎりやすさは紙目に着目し、ちぎる方向に対して紙目が平行の所は太めに、垂直の所は細めに加工しました。耐久性は三枚の合紙で担保しています。試行錯誤を重ねた甲斐もあり「link index clip」はシリーズの中でも最も象徴的なプロダクトになりました。マークス全体のイメージを牽引するほどの力強い製品ができたと感じています。