紙をめぐる話|紙の生まれる風景 No.09

福井県 越前和紙の里

眼下の家々は、ただ穏やかで慎ましく、美しかった。
福井県、越前和紙の里。
千数百年にわたり、和紙の伝統を伝え、
守ってきた人びとが暮らす町。

和紙づくりはこの自然に恵まれた山あいの土地で、
主要産業として人びとの生活に深く根ざしてきた。
いまも、和紙の里と呼ばれる五箇地区では
五十軒以上の職人や製紙所がその名を連ねる。
千年はもつといわれる越前和紙の強さは、
紙づくりに適した清らかで豊富な軟水、
手業を代々守り伝えてきた職人たちの意思と結束力、
そして、この土地の人びとの、紙を慈しむ心が
育んできたものにほかならない。

初出:PAPER'S No.42 2012 冬号
※内容は初出時のまま掲載しています