紙をめぐる話|紙の生まれる風景 No.16

ダイニック
埼玉工場 含浸機

黒々とした樹脂の波が、ゆらゆらと寄せては返す。
ごうごうと響き渡るローラー音とともに
その波のなかに吸い込まれていく真新しい白い原紙。
ふたたび姿を現したときには、
ほんのりと肉付いた黒い紙になっていた。
樹脂の海に浸され、それを全身に含むことで、
紙の強度は内側から高められていく。
かつて書籍の表紙は皮革や布だった。
時代は移り、素材の主力は紙に移っていった。
それでも求められる強度は変わらない。
人の手に触れられ、外界にさらされ、年月を経ても
長く読まれつづける書籍でいられるか、否か。
含浸機は、たゆたう波の満ち引きによって
やがて表紙となる原紙に強さを染み込ませていく。


初出:PAPER'S No.51 2015 冬号

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