紙をめぐる話|紙の生まれる風景 No.23

王子製紙 苫小牧工場
N-6号 抄紙機

その途方もない大きさに思わず息をのんだ。
抄紙機というより、切り立つ山脈のような雄大さ。
N-6号。最新鋭の設備と積み重ねてきた技術を結集し、
世界屈指のスケールで製造されたこの抄紙機は
時速100kmに迫るスピードで紙を抄く。
水分を絞り、乾燥させ、強度を高め、艶を出す等々、
原料である液状のパルプを張りのある紙に変えるためには
300m以上にわたる複雑な抄紙工程が必要とされるが、
その長い道のりにかかる時間はわずか十数秒。
一日700tもの新聞用紙がこの一台から生み出される。
その圧倒的な生産量は、そのまま供給の安定性に繋がる。
国内需要のおよそ3割、1300万世帯分の新聞用紙を
日々欠かすことなく読者の元に届け続けてきた
苫小牧工場。N-6号の大きさは、背負っている責任の
大きさでもある。

初出:PAPER'S No.58 2018 秋号
※内容は初出時のまま掲載しています

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