紙をめぐる話|紙の生まれる風景 No.29

特種東海製紙 岐阜工場
仕上室

紙を作らない紙づくりの職人たちがいる。
壁や床の微細な起伏や傷まではっきりと見えるほど、
明るい光が隅々にまで染み渡っている部屋。
ぱららぱららと滑らかな手つきでめくられていく紙に、
まばたきの隙もなく鋭い視線が投げかけられる。
粛々と集中し続ける姿に威厳さえ漂う彼女たちは、
不備のある製品が出荷されてしまうことを
防ぐ水際の番人。
岐阜工場では機械での品質管理も行なっているが、
細やかな繊維がまぶされたアングルカラーのように
質感と不良との判別が難しい紙を数多く扱っているため、
その見極めを手練れのスタッフたちが担っている。
技術の進歩によって検査装置の精度は
年々高まっていても、
まだまだ人の目の柔軟さや精緻さには敵わないという。
作るだけではない。
紙づくりとは品質を守ることでもある。

初出:PAPER’S No.64 2021 秋号

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