紙をめぐる話|紙の生まれる風景 No.27

特種東海製紙 岐阜工場
損紙ラック倉庫

紙に込めてきた精神が、丁寧に束ねられていた。
貴重な反物のようにひとつずつ紐で結われ、
保管されていたのは、紙の製造工程で発生した損紙。
岐阜工場ではこれらを、
いわゆる無彩色の再生紙ではなく、
色鮮やかなファインペーパーの
原材料として活かしている。
すべての損紙は染料の微細なパーセントまで記録され、
黄と青を掛け合わせて緑にするといった塩梅での
染料と染料の配合から生じる色味の精密な計算によって、
目的のファインペーパーの色に調合されていく。
できあがった紙の色は、基準の紙とぴたりと一致する。
その再現力の高さに驚くが、本質はその奥にある。
どんな紙でも無駄なく守り繋げようとする姿勢こそ、
紙づくりの歴史が続く土地の工場ならではの特色。
伝統は色褪せず、技術に宿り、新たな風景を彩っていた。

初出:PAPER'S No.62 2021 冬号
※内容は初出時のまま掲載しています

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